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事業内容
はじめに
【雇用環境】(大阪府)
大阪府商工労働部による大阪府景気観測調査結果(2024年1~3月・4/19公表)によりますと、「景気は、一部に弱い動きはあるが、持ち直し基調にある」とし、業況が改善する見通しを示しました。また、「株価の上昇や所得環境の改善など好条件がある一方、海外情勢や物価高、金利や為替の動向を注視する必要がある」と指摘しました。雇用情勢は、「2023年度は前年度に比べて落ち着きが見られた結果、2024年度は業種や規模に関わらず、採用意欲はやや鈍化した」としています。厚生労働省による3月の有効求人倍率資料(4/30発表)では、全国平均は1.28倍であるのに対し、大阪府は全国最低の1.07倍となりました。府域には、中小企業が多いことに加え製造業やサービス業が多いため、原材料価格の高騰や賃上げなどのコスト上昇が多大な影響を受けています。対応策として求人を控えざるを得ない企業が増えたことが要因とみられます。
厳しい調査結果が続きますが、反転材料としましては、300日後に開幕する大阪・関西万博があります。経済産業省の試算によりますと、来場者は2,820万人、経済波及効果は2兆9千億円と推定しています(3/29)。関西経済全体をけん引し、観光産業に留まらず幅広い分野での雇用創出と就労支援の機会が提供されることが期待されます。
【雇用政策】
時間外労働の上限規制について、建設業、トラック輸送業、医師等において適用を猶予されておりましたが、猶予期間が終了し、本年4月1日から時間外労働の上限規制が適用されました(2024年問題)。これらの対象業種に該当する事業者は、かかる上限規制を前提とした就労体制を構築する必要があります。
障がい者雇用につきましては、本年4月1日以降、企業における法定雇用率が2.5%に引き上げられました。注意すべきことは、これまでは従業員数43.5人以上の企業が障がい者雇用義務の対象でしたが従業員数40.0人以上の企業まで対象が拡大されていることです。また、2026年(令和8年)7月には、障がい者の法定雇用率が2.7%に引き上げられるとともに従業員数37.5人以上の企業が障がい者雇用義務の対象になります。対応を先送りすることなく、計画的に障がい者雇用を進めていくことが求められます。加えて、4月1日以降はすべての事業所に対し、障がい者への合理的配慮が「努力義務」から「法定義務」となりました。障がいのある社員との相互理解を増進するとともに社内体制の充実が求められています。
【企業と人権】
昨年(2023年)7月、国連人権理事会ビジネスと人権作業部会が訪日し、政府や地方自治体、日本企業等の人権順守の取り組み状況等について実地調査しました。「作業部会」は、最終日にステートメント(所見)を公表し、政府や企業における人権課題について多岐にわたり懸念事項を指摘しています。とりわけ、「リスクにさらされているステークホルダー集団」の項では、「採用面接の質問などを通じ職場差別が現存する」ことを指摘したことは注目すべきことです。政府や企業においては、国連「ビジネスと人権指導原則」や日本政府「ビジネスと人権行動計画(NAP)」が指摘する基本的な諸原則に則り、社会的・道義的責任を十分に認識し、人権を尊重することが求められています。自社が人権侵害に関与しないことはもちろんのこと、あらゆる場面において積極的主体的かつ継続して社会的責任を果たしていかねばなりません。
【C-STEPの役割】
近年、就職困難者支援の現場では就職阻害要因の複雑化重層化が一層顕著になっています。手帳を持たない「障がい者」、70歳を超える高齢求職者、福祉政策を併用しつつ就労をめざす困窮者の方々が増加しています。また、求人企業についても前述の「2024問題」の影響が大きい業種(建設、輸送サービス等)へのキャリアチェンジ支援、雇用率引き上げにより障がい者の採用が急務である事業所への採用支援など課題は山積です。複雑化する課題、新たな課題にも的確に対応せねばなりません。これらの課題解決には、会員みなさまのご理解とご協力が不可欠です。同時に支援のネットワークも必要です。行政、企業、経済団体、各就労支援組織、教育関係機関、医療・福祉関係機関、人権相談機関等との連携を強化してまいります。さらに大切なことは組織強化と事業改革です。時代に即した活動ができているのか、相談者とのズレはないか、常に自己研鑽しつつ、内容の充実と新規事業の創出に取り組んでまいります。
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(1)人材スキルアップ定期コ-ス(7月・10月・2月)
就職に挑戦する前向きな気持ちを醸成すること、自らの能力を再認識・発見すること、職場体験を通じて自信をつけることを目的にスキルアップ講座を以下のとおり実施します。
- 7月期「座学と職場実習」コース(受講者目標10名)
企業担当者からのアドバイスやビジネスマナー等の座学4日間と職場実習1~2週間実施します。 - 10月期「障がいのある人を対象に座学と職場実習」コース(同10名)
障がい者を対象として、ビジネスマナー基礎講座と能力、特性に応じた職場実習1~2週間実施します。 - 2月期「座学と企業見学会」コース(同10名)
企業担当者からのアドバイスやビジネスマナー等の座学4日間と企業見学1~2社実施します。
参加エントリーをしやすくするとともに、事前面談を各地域就労支援センターで実施します。事前面談では、受講者の状況把握や就労意欲等支援者とも綿密な打ち合わせを行います。講座期間中においても地域就労支援センターのコーディネーター(以下、「地域就労Co」といいます)に巡回を要請し、支援者との連携を強化します。講座終了時には、各受講者の振り返り(個別面談)により、自己理解と新たな支援方策立案、就労支援につなげます。
職場見学、職場実習については、受入企業を増やし、職種、職域を拡充します。特に若年求職者、中高齢求職者の受入企業の拡充を図ります。昨年度から「障がい者を対象としたコース」を10月期に実施しています。実施時期を繰り上げたことで、就労支援がよりスムーズになりました。今年度も10月に実施します。座学研修では、ビジネスマナーを講座の初期段階で行います。実践的講座では参加者間のコミュニケーション等を重点に進めて行きます。
(2)人材スキルアップ随時コ-ス
期日を定めず随時募集し、就職困難者の特性に適応した職場実習を通年実施します。対象者の状況によっては、C-STEP事務所内で3日間程度の事前実習(模擬職場実習)を行い、ビジネスマナーの基礎等を習得したのち企業実習に入ります。会員企業による職場見学、職場実習など多様なメニューの提供により充実した就労支援を行います。またスキルアップ定期コースと同様に「地域就労Co」と連携し実施します。参加目標人数は25名です。
(3)大阪府域支援学校等との連携
①支援学校等生徒の職場実習
新型コロナ感染症も5類に移行し、ようやく落ち着きを取り戻してきました。今年度は、新たな実習先の開拓(実習職種の拡充等)に尽力し、引き続き支援学校等の障がいのある生徒の職場実習を行います。実施にあたっては、教育庁支援教育課との定例会議を行うなど連携を綿密に行い、支援学校等生徒の就職ニーズの収集を行います。また、多様化する希望職種や職域にも対応できるよう実習受入れ企業数拡充を図ります。目標は、80事業所で200名以上の職場実習とします。
②C-STEP事務所内模擬職場実習
C-STEP事務局におきましても、3日間の模擬職場実習を継続実施します。5月初旬から開始し、学校行事とも調整のうえ、20校・90人の実習生を受け入れます。教職員等の教育関係者には、学校関係者会議や指導主事会議等で、C-STEP事業への理解を深めてまいります。また、新転任者につきましても模擬実習の見学機会の提供等、理解増進に努めます。
③支援学校等生徒の就職マッチング事業目標
これらの取り組みと会員訪問による新規採用の拡大により、支援学校等生徒の就職(内定)者70人以上を実現します。
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(1)就職マッチングへのエントリーと職場見学会
大阪府就労支援ケース連絡協議会から推薦された就職困難者について、C-STEP会員の職場見学会等~就職マッチングへつなげていきます。
求職者には、C-STEP職員(キャリアコンサルタント)によるカウンセリングにより自己分析を促すとともに、個々のサポートプランを立案し実施します。特にカウンセリングにより、自らの得意分野に気付き、就職力の向上を図ります。
就職支援に取り組む様々な団体との連携を強化します。ハローワークをはじめ地域就労支援センターや障害者就業・生活支援センター、障害者就労移行支援事業所、若者サポートステーション等々とは日常的に情報交換し、相互支援を行います。
介護福祉関連業、運送業、建設業、清掃業、ビルメンテナンス業、給食・外食産業等サービスなど慢性的に人材不足となっている事業所も少なくありません。これらの事業所には、中高齢求職者や就労経験の短い(ない)若年求職者等を積極的に紹介してまいります。事業所には、職業体験から採用につながるよう協力支援を行います。
障害者雇用安定法の改正により、4月1日より法定雇用率が2.5%に引き上げられました。また適用事象所も拡充しています(雇用者数40人以上)。障害者法定雇用率を達成していない事業所には一層の努力が求められます。これらの事業所には、「仕事出し」の立案~募集、採用、定着に至るまで、中長期的に支援を行い、障がい者雇用の促進と障害者法定雇用率の早期達成のための協力支援を行います。
これらの活動を展開することで、企業からの求人情報カードの収集50件、就職マッチング者数25名以上を実現します。
(2)会員訪問
時代の変化に応じた支援策の立案、事業展開が求められています。そのための会員訪問による現場の声(意見交換)が不可欠です。企業ニーズの把握と新たな職場開拓、職場実習未実施事業所には実施に向けた企画提案のために会員訪問を行います。
また、「働き方改革」の進展により、在宅勤務やリモート勤務の定着など、これまでの雇用の慣行が変化しています。訪問・面着の手法もニーズに即して改善してまいります。
今年度の目標件数は、1,000件(内求人開拓300件)です。
(3)在職者の職場適応・定着支援
就職困難者の中には、就職できても短期間で離職するケースも散見されます。就職困難者にとって職場定着も大きな課題です。一方、採用企業の担当者にとっても、採用決定と同様に、職場定着支援が大きな課題となっています。C-STEPの定着支援は、就職者を中心として、企業・支援者(家庭)・C-STEPが常に連絡連携を取り合うことで職場における諸課題を早期に発見し、離職を未然に防ぐ取り組みを行っています。
具体的には、C-STEP会員事業所に就職した1~2年目の新規採用者には直接面談のうえ支援します。また、その後においても課題を抱える就職者には定期訪問を継続し支援します。加えて、ケースによっては、障害者就業・生活支援センターや障害者就労移行支援事業所等とも同行訪問を行うなど、連携しつつ定着支援を行います。支援学校等生徒の定着支援については、教育庁や出身高校等へ情報提供を行うとともに、ケースによっては同行訪問するなど定着支援します。なお、困難事例については事務局ケース会議等で共有化を図るとともに、外部専門員にも協力を得て早期解決に努めます。
これらの取り組みにより、就職困難者の定着率90%以上、支援学校等生徒の定着率100%をめざします。
(4)会員貢献度評価顕彰
企業の社会的責任・社会貢献の取り組みを推進していくためにも、引き続き、顕彰事業を実施します。また、企業訪問を通じて評価顕彰システムの周知を図り、新しく評価を受ける事業所(エントリー会員)を増やします。
第17期(2023年4月~2024年3月)受賞者の選定や、第18期(2024年4月~2025年3月)の顕彰項目については、引き続き外部委員による「評価顕彰システム検討委員会」により検討していただきます。今年度は、第18期「C-STEP会員企業貢献度評価制度」を実施します。さらに、この顕彰事業が社会的に認知されるよう周知努力を行います。
2021年10月より、教育庁ハートフルオフィススーパーバイズ事業を受託し、実施しています。就職マッチング事業や職場開拓事業等C-STEPが有するノウハウを教育庁ハートフルオフィス(以下、「教育庁HO」)事業指導員へのスキルアップにつなげていきます。また、指導員への助言、就労コーディネート機能強化を通じて、「教育庁HO」訓練生の職場実習の実施、就職支援を行います。
本事業実施するためには訓練生の状況や適正、ニーズの把握が不可欠です。また、雇用情勢や求人情報を共有する必要があります。そのために、毎月1回の定例会議「教育庁HO就労支援検討会議」を実施します。検討会議では、職業適性の評価やスキルの向上のため、一人ひとりに合わせたプログラム(サポートプラン)を指導員と共に立案のうえ実施します。また、指導員による実習先等の開拓・選定に要するノウハウの習得やマッチングに要するノウハウ習得のため、指導員等と共に企業訪問し、実習先の確保から実習支援、実習後のフォローアップ、就職マッチングを連携実施します。教育庁ハートフルオフィスも開設4年となりました。この間の実績により、大きな成果を残すとともに様々な課題も見えてきました。今後の本事業のあり方について検討し、提言します。
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(1)広報・情報提供
①C-STEPニュースの発行
年3回(8月・12月・翌3月)定期発行します。記事内容については、先進的な取り組み紹介や身近な会員情報など一層の充実を図ります。現在、「編集会議」を編成し、各号ごとの発行計画を立案しています。会員各位には、各種情報の提供、現場取材、要望等積極的な協力をお願いします。
②ホームページの更新
各種事業の案内や実施済み事業の報告、及び会員情報、雇用・就労等に関する身近な情報に加えてC-STEPニュースで詳細を紹介できなかった内容について適時更新します。また、閲覧しやすいページ作りに努めます。情報の発信については、個人情報の保護を徹底するとともにセキュリティーを強化します。
(2)研究会・研修会の実施
①雇用問題研究会
様々な「就労困難を抱える人たち」の問題について、先進的な取り組みや行政施策の動向等タイムリーな課題をテーマとして実施します。事業の趣旨、目的を明確にし、具体案を立案するために「企画会議」を開催します。研究会は、会員、支援団体のみならず、一般参加も受け付け、C-STEP事業への理解者拡大につなげます。また、前年度に引き続き、(公社)関西経済連合会、大阪商工会議所等経済団体やマスコミ等へ後援依頼するとともに、広報と参加者増加を図ります。今年度は、10月に実施予定です。
②人と仕事をつなぐ企業の集い
大阪府、大阪市、大阪府教育委員会、大阪労働局(後援)と共に実行委員会(5月予定)を構成し、企画運営をめざします。また、支援学校や先進企業等見学会を実施し、障がい者雇用への理解を深め雇用拡大を図ります。今年度は、計画立案のための実行委員会を早期に立ち上げ、余裕をもった運営を行います。なお、開催時期としましては、11~12月を予定しています。
(3)会員情報の収集
会員から毎年度提出していただく「会社概要届」の提出率の向上を図ります。引き続き、様式の簡素化、配布回収方法の改善に努め、回収率90%をめざします。また、「会社概要」情報に基づき、ニーズに則した情報発信や事業の企画立案に活用します。
>> ネットワーク構築等事業の活動紹介へ
(1)地域就労支援センターとの連携
「人材開発・養成事業」「就職マッチング事業」において、地域就労支援センターでの就労困難者の把握と「大阪府就労支援ケース連絡会議」からの誘導連携が不可欠です。日常的な情報交換に加えて各地域ブロック会議にも積極的に参加していきます。また、若年者、中高年者の求人情報を増やし誘導につなげていきます。相談件数の多い地域就労支援センターとは、定期的にケース会議を行い、綿密な情報交換を行います。地域によっては、各種講座や就職セミナー(就職フェア)等の共同開催を企画実施します。
(2)一般財団法人大阪府人権協会との連携
2014年度から共同事業体として、「大阪府就職困難者就労支援共同事業」を受託してきました。引き続き共同事業体で受託しています。大阪府人権協会を窓口に府下の市町村人権協会・人権地域協議会とも連携を図り、市町村地域就労支援センターを訪問し、C-STEP事業への理解を深めることと、特に協力関係を強化しうる市町村については重点対策を行います。また、面談に対してのテーマ設定を行い、具体的な誘導方法を探っていきます。大阪府人権協会を通じて各市町村相談担当窓口とも積極的に連携し就労支援を行います。
(3)一般社団法人ヒューマンワークアソシエーション(Bサポ)との連携
一般社団法人ヒューマンワークアソシエーション(Bサポ)は、地域の活性化と主に就職困難層の生活と就労を支援することを目的に活動していています。また、旭区や守口市の生活困窮者支援事業や守口市地域就労支援センター事業、大阪市就労チャレンジ事業を担うなど活動エリアも拡大しています。引き続き連携支援を行います。
(4)有限責任事業組合大阪職業教育協働機構(A´LLP)との連携
就職困難者及び障がいのある生徒の就労支援を進めるため、有限責任事業組合大阪職業教育協働機構(A´LLP)と連携し、能力開発事業を実施します。具体的には、A´ワーク創造館で実施している職業訓練事業や能力開発事業への広報と参加者の誘導、新たな連携事業の企画提案を行います。
(5)障害者就労継続支援事業所、就労移行支援事業所との連携
障がい者雇用分野においては、労働施策と福祉施策の連携が喫緊の課題であります。障害者総合支援法に基づく就労系福祉サービスとして、就労継続支援(A型B型)、就労移行支援、就労定着支援の各事業が行われています。これらの就労支援事業を行っている各事業所、団体と連携し、効果的な支援活動を実施します。
>> その他事業の活動紹介へ
(1)就職者支援の会「ひまわり」への協力支援
定例役員会の開催、機関誌発行、経験交流会など、就職者支援の会「ひまわり」の活動を積極的に展開し、一層の定着支援を行います。
(2)平和・人権・福祉に取り組む活動への参加協力
ネットワーク構築事業の諸活動に加え、同和問題解決(部落解放)・人権政策要求大阪実行委員会、世界人権宣言大阪連絡会議、えせ同和行為等根絶大阪連絡会議、NPO法人ニューメディア人権機構、NPO法人ふーどばんくOSAKA、リバティおおさか人権資料の大阪公立大学への移管と寄付金募集を推進する会など、「平和・人権・福祉」に取り組む諸活動に積極的に参加協力します。